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所長のひとり言 12
ハルゼミが梅雨のつかの間の晴れ間をにぎやかに鳴いている。自然教室での入所式や退所式ではまるで歓迎と別れの挨拶のようだ。八ヶ岳での年間の晴れる日は約240日。冬は晴天率が高く、冬晴れの寒い日が続くけれど、今の時期に気持ちのいい晴れの日が続くとやはりうれしい。例年より晴れの日が少なく感じていたので、陽の光を待ち望んでいたのは彼らも同じなのかもしれない。
八ヶ岳の花模様も春の花から夏の花へと変わりつつある。クリンソウはしっかり根付き、赤紫の濃淡の花をつけている。キスゲも咲き出した。ヤマユリが何年もかけて、やっと花をつけようという時期になって、鹿のご馳走に・・・。山の中ではいろいろなことが起こる。放っておけば草は伸び放題、花も実もわからない。きれいにしようとすると、残したいものまでその対象にされてしまう。強い意志と決断力で、指先の感覚と目線を研ぎ澄ませて取捨選択しながら腕をふるう。日々みどりを増す林を眺めながら、自然の営みと人とのかかわりの難しさを思う。

2008.7.1 三井一則 |