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所長のひとり言 13
連日、猛暑が続いていた7月の終わりころ、風がそれまでと違って涼しく感じられた朝、自由広場へ下る道のナナカマドの枝先のいく枚かが葉を染め始めていた。実はすでに赤みをおびている。白い花をつけていたころ「この花が紅い実をつけるころ、また八ヶ岳に来てください」と言って送った学校があったけど、あの子供たちはどうしただろうとふっと思い出した。手折って紹介した木のことを調べただろうか、名前を言わなかったからもう忘れているだろう。
あのころはまた、ヤマユリの開花の最盛期でもある。窓を開けていると、暑さに和らいだ風が強い香りを部屋の中まで運んでくる。そのこと教えてあげられなかったが、夏休みの連日にぎわった利用団体の中には、色づき始めたナナカマドの赤い実も満開のヤマユリの匂いにも気づいてくれている子どもたちがいたに違いない。故あって利用した時期が最高の時期であってほしい。天候はままならなくとも、何時の季節でも最良の贈り物は自然の恵み、自然の姿だ。オミナエシが咲き出して、季節の花はもう夏から秋へ衣替えを始めている。

2008.9.1 三井一則 |